ベンチャーキャピタルに関する有識者会議

 金融庁の金融審議会は2023年12月12日に、「金融審議会市場制度ワーキング・グループ・資産運用に関するタスクフォース報告書」を公表し、広く内外機関投資家から資金調達を目指すベンチャーキャピタル(以下、VC)について、海外の実務を参考にしつつ、VCのガバナンス等の水準を向上させ、長期運用に資するアセットクラスとしての魅力を高め、VC業界の発展を後押しするため、VCの運営に求められる基本的な考え方を示すプリンシプルを定めることが適当であるとの提言がなされました。
 政府は2023年12月13日に「資産運用立国実現プラン」を策定し、スタートアップ企業等への成長資金の供給の促進に向け、ベンチャー投資の促進に向けた環境整備を図るため、VC向けのプリンシプルを策定すると公表しました。
 このため、民間有識者等の知見を活かしつつ、VC向けのプリンシプルに盛り込むべき事項について提言を得ることを目的として、金融庁と経済産業省が共同で有識者会議を設置し、2024年4月30日に第1回「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議(以下、本会議)」が開催されました。
 本会議は金融庁企画市場局市場課を事務局として、大学教授、VCのCEOやパートナー、法律事務所や監査法人等の専門家の他、保険会社等の機関投資家を含む11名のメンバーで構成され、日本取引所グループ、日本ベンチャーキャピタル協会等がオブザーバー参加しております。
 第2回本会議が2024年5月28日に開催され、今後も本会議は継続的に開催される予定です。
 本稿では、開催された第1回の概略をまとめております。

第1回本会議における検討状況等

 第1回本会議では、金融審議会よりプリンシプルの基本的な考え方を整理した上で、下表のようなプリンシプルに盛り込むべき論点及びその他盛り込むべき論点があるかどうかについて議論がなされました。

 

 

プリンシプルに盛り込むべき論点の中でも、特にIPOに関連した論点及び議論すべき具体的な内容は下表にまとめております。

 

 

 第1回本会議で複数のメンバーが本会議のアウトプットの位置づけや留意すべき事項として挙げていたコメントは主に以下の内容となります。
 ・規制当局がプリンシプルを策定することでVC等の柔軟性を損なうことは避けるべき
 ・プリンシプルはソフトロー的な考え方であり、VCに対して何らか規制が設けられるとは認識していない
 ・投資手法は投資先の事業分野等を踏まえて、GPがファンドの利益を最大化することを目指して最適な戦略を選択すべきであり、プリンシプルとして取り上げる必要はない
 ・スタートアップのアップサイドを狙うためにどのようにVCが寄与できるかという観点を加味いただきたい

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