2020年度 東証の上場審査実施状況

 毎年6月の中下旬のタイミングで、日本取引所自主規制法人より「JPX自主規制法人の年次報告」が公表されております。
 当該年次報告では、公表タイミングの前年度における日本取引所グループの各種取組や、上場審査、上場管理、売買審査等の各個別業務の実施状況がまとめられております。
 本稿では、 6月16日に発行された「JPX自主規制法人の年次報告 2021」における上場審査業務の最近数年の実施状況等を取り纏めております。

2017年度~2020年度 上場審査の状況

2020年度 上場審査実施状況の特徴

 2020年度の上場審査実施社数は、前年度比で40社減少した2019年度に引き続き、更に21社減少しております。
 これは、新型コロナの影響等により、申請を実施した社数が全般的に落ち込んだものと推測されます。
 上場審査実施社数に対する上場等社数合計の単純な割合の比率を試算すると、2017年度及び2018年度に80%前後で推移していたものが、2019年度は69.2%と大きく下落したものの、2020年度は81.3%と、2018年度以前の水準に戻っております。
 これは、上場準備会社の体制強化や、新型コロナの影響等を踏まえて、申請に当たって業績面での上場確度をより厳選したこと等によるものと推測されます。(なお、年度を跨いで上場審査が実施されるケースもあると推測されるため、上記で試算している単純な割合の比率は、必ずしも当該年度に上場審査が実施された会社が上場等に至った割合の比率ではないことに留意が必要です。)
 また、その他の特徴的なアクションとしては、幹事取引参加者や監査法人との市場区分見直し等をテーマとした意見交換会の実施や、環境変化に的確に対応すべく審査マニュアルの充実等を実施するとともに、今年度から上場審査における業務の高度化・効率化を目的に、人工知能を活用した財務分析システムを導入したことなどが挙げられております。

新規上場申請者の上場適格性に関する情報受付件数の推移

 「JPX自主規制法人の年次報告」では、日本取引所自主規制法人のホームページの「情報受付窓口」を通して、新規上場申請者の上場適格性に関して外部から提供された情報件数も公表されており、2017年度~2020年度の件数推移は下表の通りです。
 下表の期間においては年々件数が増加しておりますが、情報の内容によっては、該当会社の上場スケジュールや上場自体そのものに大きな影響を与える可能性もあるため、上場準備会社においては十分留意が必要です。

 

メルマガ登録

各種最新情報をお届けいたします。ぜひお役立てください。

メルマガのご登録はこちらから

お問い合わせ

まずはご相談からで結構です。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちらから
メルマガのご登録はこちらから お問い合わせはこちらから