東証は、「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果」を都度公表しておりますが、直近では2022年1月26日に、2021年12月末時点での集計結果がまとめられた「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果」が公表(以下、「当該公表」)されております。
当該公表では、2021年6月に実施されたコーポレートガバナンス・コードの改訂(改訂後のコードについて、以下「改訂コード」)を受け、2021年12月末までに上場会社から提出された「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(以下、「CG報告書」)の内容に基づき、主なコード改訂内容への対応状況についてまとめられております。
本稿では、主なコード改訂内容への対応状況から何点か取り上げて紹介しております。
取締役会の機能発揮
改訂コードでは下記の4項目が改訂となっており、2021年12月末時点の対応状況は表の通りです。
特徴としては、原則4-11については改訂前と比較してコンプライ率に大きな変動は見られないものの、補充原則4-11①については、改訂前と比較して、市場第一部が25.8pt、市場第二部が38.6ptとそれぞれコンプライ率が大きく減少しております。
これは、補充原則4-11①についてエクスプレインしている会社の増加を示しており、それらの会社のCG報告書の記載内容としては、今後取締役のスキル等の組み合わせの開示を検討するという事例が多く見られていると分析されております。
また、取締役のスキル等の組み合わせの開示に関連して、補充原則4-11①の対応状況についてTOPIX100の組み入れ会社の実施状況が紹介されており、具体的な実施状況は下表の通りですが、CG報告書、招集通知及びウェブサイトへの記載を中心にスキル・マトリックスを開示する会社が多いことが特徴となっております。
サステナビリティを巡る課題への取組み
改訂コードでは下記の3項目が新設・改訂となっており、2021年12月末時点の対応状況は表の通りです。
補充原則2-3①について、市場第一部及び市場第二部では共にコンプライ率は微減とはなっているものの、全体的に90%超の高水準なコンプライ率となっており、多くの上場会社がサステナビリティを重要な経営課題として認識し、検討を深めている状況が伺えます。
一方で、新設された補充原則3-1③及び補充原則4-2②に対するコンプライ率は、全体的に6割前後から8割前後となっており、サステナビリティの具体的な情報開示や、サステナビリティを巡る取組みについての基本的な方針の策定などの具体的な対応まで出来ている会社の割合はやや低くなっております。
自社のサステナビリティについての取組、人的資本や知的財産への投資等についての情報開示に関して、補充原則3-1③の実施状況について、TOPIX100の組み入れ会社の実施状況が紹介されており、具体的な実施状況は下表の通りです。
開示対象資料としては、ウェブサイト、統合報告書及びサステナビリティレポートなどの個別レポートで開示している会社が多いことが特徴となっております。