「公開価格の設定プロセスのあり方等に関するワーキング・グループ」報告書

 2021年6月18日に閣議決定された「成長戦略実行計画」に、「新規株式公開IPO時の公開価格設定プロセスの在り方について、実態把握を行い、見直しを図る。」旨が明記されました。
 一方で、2021年4月から5月にかけて実施された日本証券業協会(以下、協会)の自主規制規則の見直しに関する提案の募集において、IPO時の公開価格設定方法(ブックビルディング制度、入札制度)の運用の見直し(仮条件の設定・運用、割当、情報公開、利益相反に対する姿勢)や、コーナーストーン投資家制度の議論も含め、親引けに関する規則の再検討について提案がありました。
 それらの流れを受けて、2021年9月に、協会エクイティ分科会の下部に、近年IPOを行ったスタートアップ企業、国内・海外機関投資家、有識者及びIPO案件の主幹事実績の豊富な証券会社で構成された「公開価格の設定プロセスのあり方等に関するワーキング・グループ(以下、公開価格WG)」が設置されました。
 公開価格WGでは、2021年9月から2022年1月までの間に6回開催され、公開価格の設定プロセスや実態把握を行うとともに、公開価格の設定プロセスのあり方に関し、制度の見直しの必要性及び見直しの内容について幅広く検討が行われました。
 2022年1月31日には「改善策の概要(案)」が一旦公表され、最終的に2022年2月28日に『「公開価格の設定プロセスのあり方等に関するワーキング・グループ」報告書』(以下、報告書)が公表されました。
 また、公開価格の設定に関しては、公正取引委員会によって、IPO時の初値が公開価格を大幅に上回る要因となり得ると考えられる事項について、競争政策・独占禁止法上の課題の有無を検討するために、公開価格の設定について実態把握が行われ、2022年1月31日に「新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握」が公表されております。
 2022年2月28日公表の報告書は、公正取引委員会の公表内容も踏まえてまとめられたものです。
 本稿では、報告書の概略を中心に取りまとめております。

報告書の概略について

 報告書では、現在の公開価格の設定プロセスについて、制度・実務等に関連する改善策の実施時期も明示することで整理されております。

2022年6月実施目途分

2022年12月実施目途分

上場日程の期間短縮・柔軟化

 2022年12月を実施目途とされている諸項目の中でも、上場準備会社の実務に影響が生じる上場日程の期間短縮・柔軟化については、現行では1ヶ月程度となっている上場承認日から上場日までの期間を21日程度と、約10日程度短縮化する改善策が提示されており、具体的な短縮化のイメージは図の通りとなります。

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