女性活躍推進法の動向

 本稿では、2022年4月1日から「101人以上300人以下」の企業まで大幅に拡大されました「女性活躍推進法」の動向のほか、「四半期開示」関連についてまとめております。

女性活躍推進法関連:男女間賃金格差開示

 2022年5月20日に開催された「第7回新しい資本主義実現会議」において、岸田総理から、男女間の賃金差について開示を義務付ける方針が表明されました。
 それに伴い、2022年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(骨太方針2022)において、男⼥間賃⾦格差の開⽰義務付けが盛り込まれました。
 具体的には、労働者の男女間賃金格差を解消していくため、早急に、女性活躍推進法の制度改正を実施し、労働者301人以上の企業に対し、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を開示することの義務化について、本年夏には関連法令の施行を目指すものとなっております。
 対象となる「労働者301人以上の企業」は上場・非上場を問わず、また、労働者の人数については、常態として使用される労働者数や、パート・アルバイトであっても、臨時的に雇い入れられた場合でなければ、常時使用する労働者数に含まれるとされておりますので、義務化の際は適用有無の確認に留意が必要です。
 また、上記とは別途、男女間賃金格差については、有価証券報告書における開示の義務化についても議論が進んでおりますので、留意が必要です。

女性活躍推進法関連:対象範囲の拡大

 上記の男女間賃金格差の開示でも関連している女性活躍推進法が、2022年4月に改正されました。
 具体的な改正内容としては、義務(※次項目参照)の対象となる範囲が拡大され、従来は「常時雇用する労働者の数が301人以上の大企業」が対象となっており、300人以下の企業は「努力義務」とされてきましたが、2022年4月1日からは「101人以上300人以下」の企業まで大幅に拡大されました。(人数概念については、上記「1.女性活躍推進法関連について:男女間賃金格差開示」に記載の考え方と同様)
 上場準備会社において、上記改正に関する社内対応について確認を受けたという事例については、現状では特に確認はされておりませんが、今後実際に確認を受けた際に未対応の状態が発覚したなどの場合、法令改正に対する対応が不十分と見做されるおそれもあります。
 上場準備のタイムラインで上場審査中や上場審査開始が近い会社などは特に留意が必要です。

女性活躍推進法関連:義務内容

四半期開示関連

 本ナレッジの「四半期決算開示とバーチャル株主総会を巡る動向」(2022.06.03)でも取り上げました四半期開示を巡る動向に関連して、2022年5月23日の第9回金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおいて、四半期開示については、「上場企業についての法令上の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、取引所の規則に基づく四半期決算短信に「一本化」することが適切」と踏み込んだ見解が示されました。
 なお、四半期決算短信に対する監査法人によるレビューの必要性や、第1・第3四半期報告書の廃止後に上場企業が提出する「半期報告書」に対する監査法人の保証の在り方等については、引き続き金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループで継続検討することとされております。

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