公開価格の設定プロセスに関する日本証券業協会ワーキンググループ報告書における検討課題のうち、「仮条件の範囲外での公開価格設定」、「売出株式数の柔軟な変更」及び「上場日程の期間短縮・柔軟化」の改善策の実施について、2023年9月15日に日本証券業協会から「IPOにおける公開価格の設定プロセスの変更点・留意点等について」が公表されております。
本稿ではこれらの内容等について取りまとめております。
仮条件の範囲外での公開価格設定、売出株式数の柔軟な変更
「一定の範囲」内であれば、ブックビルディングを再度実施することなく、「仮条件の範囲外での公開価格の設定」及び「公開価格の設定と同時に売出株式数の変更」ができることが明確化されました。
「一定の範囲」は下表の内容となっております。

上場日程の期間短縮
上場承認日から上場日までの期間を短縮し、市場環境等の変化による価格変動リスクを低減するため、上場承認日に提出している有価証券届出書を上場承認前に提出し、必要な手続きを早期化する方式(以下、「承認前提出方式」)での上場が可能となります。
これにより、従前は1か月程度だった上場承認日から上場日までの期間について、下図の上段の「承認前提出方式」のように21日程度に短縮することが可能となります。
また、上場準備会社は「承認前提出方式」、または従来の上場承認日に有価証券届出書を提出する方式(「承認時提出方式」:下図の下段)のどちらかの方式を選択することが可能となります。

上場日程の柔軟化
従来は、上場承認時点で特定の上場日が有価証券届出書や目論見書(以下、目論見書等)に記載されておりましたが、今後は最終的に公開価格等の条件が決定するまでは、1週間程度の幅を持った上場日を目論見書等に記載することが可能となります。
その場合、確定した上場日は、公開価格等の条件決定時の目論見書等に記載されることになります。
また、上場承認後の市場環境の変化等を踏まえ、上場準備会社にとってより良いタイミングでの上場を可能とする観点から、金融商品取引所への上場申請を取り下げることなく、訂正届出書の提出による上場日の変更等が可能となります。
上記の取扱いについては、前の項目「上場日程の期間短縮」に記載の「承認前提出方式」または「承認時提出方式」のいずれでも可能とされております。