2024年第1四半期のIPOは、好調な株式市場の動向も追い風となり、前年同期比3社増の20社となりました。
中でも、本年3月26日に東証グロース市場に上場した株式会社ソラコム(以下、同社)は、「スイングバイIPO」として注目を集めております。
本稿では、同社のIPOの概略を取りまとめております。
同社のIPOの概略について
同社は、2014年11月に設立され、IoTプラットフォーム「SORACOM」の開発・提供を行っております。
2017年8月にはKDDIグループからの出資により、KDDIグループの連結子会社となり、その後も継続的な事業成長を遂げております。
「スイングバイIPO」とは、宇宙船が遠方の惑星を目指す場合に、当該惑星の引力を利用することによって宇宙船の運動ベクトルを変動する技術である「スイングバイ」とIPOを組み合わせて、同社とKDDIグループの開示資料において使用されている用語ですが、KDDIグループ入りして加速度的な成長を遂げているイメージが下図で表現されております。(2024年3月26日付の同社公式ブログより引用)
同社IPO時のKDDIグループによる株式売出しにより、KDDIグループの株式保有割合は50%を割るものの、持分法適用会社に該当する水準で同社株式を継続保有する方針とされております。
このような大企業傘下入りによる成長でのIPOは、新しいスキームとされておりますが、2024年3月18日には、大規模言語モデルの社会実装を進める東京大学松尾研究室発のベンチャー企業である株式会社ELYZAが、KDDIグループの連結子会社となることでKDDIグループの支援を受けながら、将来的な「スイングバイIPO」を目指すことが公表されており、今後同様なスキームによるIPOが増加するかが注目されます。