2021年の新規上場会社は125社となり、昨年対比で32社増と大幅に増加し、リーマンショック後としては最多の社数となりました。(TOKYO PRO Marketは除く)
本稿では、「市場区分別」「業種別」「主幹事証券別」「監査法人別」の各項目についての2021社数ランキング及び2021年のIPO市場における特徴的事項や、「公開価格PER(予想ベース)」「初値上場時価総額」「初値騰落率」の上位下位3社ランキングをまとめております。
市場区分別社数と業種別社数
主幹事証券別社数と監査法人別社数
時価総額 1,000 億円以上の IPO
時価総額1,000 億円以上(公開価格ベース)の IPO は、昨年は 1 社もありませんでしたが、 2021 年は表の 5 社となりました。
また、時価総額1,000 億円以上(公開価格ベース)の IPO 社数 5 社は、 2015 年以来で 6 年ぶりとなります。
IPO 時の海外投資家向け販売
新規公開株式を海外投資家向けに販売する会社は増加傾向にあり、2021年は31社が海外投資家向けに販売を行い、前年比較では社数が約2倍と大幅に増加しました。また、上記とも関連してIPO時の財務諸表開示に国際会計基準を採用する会社も増え、2021年では12社が国際会計基準を採用し、新規上場企業全体の約1割に達しております。
共同主幹事案件
IPO時の幹事団組成に関して、共同主幹事方式を採用した会社が18社となりました。
18社中1社を除いて、全てIPO時の新規公開株式を海外投資家向けに販売しており、国内外含めてより幅広い投資家へのアプローチ等を目的として共同主幹事方式を採用した会社が増加したものと推察されます。
海外系企業のIPO
2021年6月にオムニ・プラス・システム・リミテッドが、また、2021年12月にはYCPホールディングス(グローバル)リミテッドがそれぞれ東証マザーズにJDR(Japanese Depositary Receiptの略)方式で新規上場しました。
両社共にシンガポール国籍の会社のJDRスキームによる新規上場で、JDRスキームによるIPOとしては、通算3社目となります。
また、企業活動が台湾やアジア地域中心のAppier Group株式会社、日本とベトナムを中心に事業展開している株式会社ハイブリッドテクノロジーズ、中国向け越境EC事業を展開している株式会社アクシージアなど、2021年は海外中心に事業展開している企業の新規上場が目立ちました。
SDGs IPO
ESG等の環境重視の高まりの中で、昨年、株式会社ポピンズホールディングスがIPO時の資金使途の社会貢献性について専門機関によるセカンドオピニオンを取得して上場し、初のSDGsIPOとして注目されましたが、2021年には、テスホールディングス株式会社、リニューアブル・ジャパン株式会社及び三和油化工業株式会社の3社が、IPO時の資金使途の社会貢献性について専門機関によるセカンドオピニオンを取得して上場し、SDGs IPO案件が増加しております。
親引け先の多様化
IPO時のファイナンスで、従業員持株会や取引先等へ親引けを実施するケースは散見されておりましたが、2021年は下表のような従来には見られなかった新しい対象先への親引けの実施事例が見られました。
特に、投資ファンドが企業価値向上等に資することを目的として、IPOを機に新規株主として参画するために親引け先として選定されたケースが特徴的となっております。
公開価格PER(予想ベース)
初値上場時価総額
初値騰落率
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