四半期決算開示とバーチャル株主総会を巡る動向

 本稿では、「四半期開示の見直しをめぐる動向」のほか、「バーチャル株主総会の動向」と「育児・介護休業法の改正」についてまとめております。
 それぞれの項目につきまして、上場準備への影響も記載しておりますので、ご参考にしてください。

四半期開示に関する最近の状況

 2022年2月18日の第6回金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループでは、「情報開示の頻度・タイミング」というテーマにおいて、上場企業が、金融商品取引法に基づく四半期報告書と取引所規則に基づく四半期決算短信の提出が求められていることを中心として討議され、コスト削減の観点等から四半期開示の「一本化」には幅広い支持が寄せられたとされております。
 また、2022年4月18日の第8回金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループでは、第6回金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおける議論を踏まえて討議が行われ、四半期開示について下記のような「一本化」の方向性が示されました。
  ・上場企業について、法令上の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、取引所の規則に基づく四半期決算短信に「一本化」
  ・任意化を含め四半期開示(「一本化」する四半期決算短信)の位置づけについては、四半期以外の適時開示のあり方と併せて、さらに幅広く企業・投資家などの市場関係者の声や海外動向を踏まえて検討すること
 なお、一部報道では、四半期開示の内容、虚偽記載に対する取扱い、監査法人によるレビューの有無等を含めた「一本化」する四半期決算短信に係る詳細を年内に詰め、2023年の通常国会での法改正を目指し、適用は2024年度以降になる見通しとされておりますが、具体的な時期等に関しては注視が必要です。

上場準備への影響

 上場準備会社における四半期開示対応という観点では、上場申請書類にも含まれている「新規上場申請のための四半期報告書」の作成等に係る事務負担や、上場後の四半期開示対応のための人員拡充等を含めた社内体制の整備などについて、どの程度軽減化が期待出来るのか、今後の議論を注視する必要があります。
 また、新規上場時に提出される有価証券届出書の提出時期に応じて、現状では四半期連結財務諸表(連結財務諸表を作成していない場合は四半期財務諸表)の記載が必要となっており、四半期レビュー報告書も添付されることとなっているため、四半期開示の「一本化」による四半期レビュー報告書の取り扱いの動向についても議論の動向をモニタリングする必要があります。

四半期決算短信と四半期報告書の主な相違点の比較

 四半期決算短信と四半期報告書の主な相違点は下表の通りで、開示内容は四半期決算短信の方が簡易となっておりますが、「一本化」する四半期開示については、開示内容はもとより、虚偽記載に対する責任や情報の信頼性等の論点についても検討が行われる予定です。

 

バーチャルオンリー株主総会の関連動向

 バーチャル株主総会の動向については、以前(2021.07.05掲載)にも取り上げておりますが、同法施行(2021年6月)後に、一部の上場会社においては、バーチャルオンリー株主総会の実現に向けた環境整備の一環として定款変更を実施しております。
 実際のバーチャルオンリー株主総会の開催事例としては、2021年8⽉26⽇に、株式会社ユーグレナ(以下、同社)が臨時株主総会を日本初の「場所の定めのない株主総会」(バーチャルオンリー株主総会)として開催しております。
 同社臨時株主総会は、同法施行後2年間について、経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた上場会社については、株主総会を「場所の定めのない株主総会」とすることができる旨の定款の定めがあるものとみなすことができるという同法規定に基づいて開催されたものであり、2022年3月26日に開催された同社の定時株主総会では、改めて下記の定款変更議案が決議されております。
 バーチャルオンリー株主総会は、遠隔地の株主等多くの株主が出席しやすくなることや、株主総会の活性化・効率化・円滑化につながり、また、新型コロナウイルス感染症等の感染症拡大防止にも資すると考えられることから、多くの3月決算の上場会社が定時株主総会開催を予定している2022年6月には、同様な定款変更を行う会社が増加することが見込まれます。
 なお、バーチャルオンリー株主総会については、適用要件に上場会社であることが規定されておりますので、非上場会社では開催することは出来ません。

 

育児・介護休業法の改正について

 2021年6月9日に、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法」(以下、育児・介護休業法)の一部改正に関する概要が公表され、2022年4月1日より一部施行されております。

具体的な改正内容

上場準備への影響について

 上記改正については、一部の項目が既に2022年4月1日に施行されていることもあり、直近の上場審査において、上記改正に関する社内対応について確認を受けている事例も確認されております。
 具体的な対応としては、育児・介護規程等の関連する社内規程等の改訂や、当該改訂について社内への周知徹底等を行うことが想定されますが、上記改正については、引き続き2022年10月1日及び2023年4月1日に段階的に施行される項目もあるため、今後についてもそれぞれの時期で適宜関連する社内規程等を改訂していく必要があることに留意が必要です。

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