2021年度 東証の上場審査実施状況

 毎年6月下旬以降のタイミングで、日本取引所自主規制法人より「JPX自主規制法人の年次報告」が公表されております。
 当該報告は、公表タイミングの前年度における日本取引所グループの各種取組や、上場審査、上場管理、売買審査等の各個別業務の実施状況がまとめられております。
 本稿では、2022年6月16日に発行された「JPX自主規制法人の年次報告 2022」における上場審査業務の最近数年の実施状況等を取り纏めております。

2017年度~2021年度 上場審査の状況

2021年度の上場審査実施状況の特徴

 2021年度の上場審査実施社数は、2020年度と同レベルの社数である192社となっております。
 上場審査実施社数に対する上場等社数合計の単純な割合の比率を試算すると、2017年度及び2018年度に80%前後で推移していたものが、2019年度は69.2%と大きく下落したものの、2020年度は81.3%と上昇し、2021年度は88.0%と更に上昇しております。
 これは、上場準備会社の体制強化や、東証が幹事取引参加者や監査法人との間で、上場審査において確認された要注意事例や上場後の不祥事事例等を題材とした意見交換会を実施した等によって、結果として上場準備会社側で審査対応向上があったものと推測されます。(なお、年度を跨いで上場審査が実施されるケースもあると推測されるため、上記で試算している単純な割合の比率は、必ずしも当該年度に上場審査が実施された会社が上場等に至った割合の比率ではないことに留意が必要です。)
 また、新規上場に対する上場審査実施社数は前年度比で大きく増加したものの、一方で、市場第二部銘柄から市場第一部銘柄への指定や上場市場の変更についての上場審査実施社数は大きく減少しております。これは2022年4月に市場区分の変更が予定されていたため、それらの申請の実施を控えた会社が多かったものと推測されます。

新規上場申請者の上場適格性に関する情報受付件数の推移

 「JPX自主規制法人の年次報告」では、日本取引所自主規制法人のホームページの「情報受付窓口」を通して、新規上場申請者の上場適格性に関して外部から提供された情報件数も公表されており、2017年度~2021年度の件数推移は下表の通りです。
 下表の期間においては年々件数が増加しており、特に「新規上場申請等に係る情報提供」の件数は増加ペースが大きいため、上場準備会社においては、情報管理面も含めて十分留意が必要です。

 

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