「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案の公表

 2022年6月13日に開催された金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループにおける検討結果の報告内容を踏まえて、2022年11月7日に金融庁から「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案が公表されました。
 本稿では、当該改正案の中でも、新たに記載が必要となる内容の概要を中心に取りまとめております。

サステナビリティ全般に関する開示

 有価証券報告書の「第二部 第2【事業の状況】」(開示府令第二号様式の場合)に、【サステナビリティに関する考え方及び取組】として記載欄が新設されました。
 当該記載欄において、「ガバナンス」及び「リスク管理」については必須記載事項とし、「戦略」及び「指標及び目標」については重要性に応じて記載することとなりました。
 サステナビリティ情報を有価証券報告書等の他の箇所に含めて記載した場合には、【サステナビリティに関する考え方及び取組】おいて当該他の箇所の記載を参照できることとなりました。
 サステナビリティ情報の記載には将来情報が含まれることも想定されます。
 ただし、以下の場合などは直ちに虚偽記載の責任を負うものではないことが、「企業内容等の開示に関する留意事項について」(「開示ガイドライン」)において明確化されることになります。
 ・将来情報に関する経営者の認識及びその前提となる事実や仮定等について合理的な記載がされている場合
 ・将来情報について社内で適切な検討を経た上で、その旨が、検討された事実や仮定等とともに記載されている場合

人的資本、多様性に関する開示

 人材の多様性の確保を含む人材育成の方針や社内環境整備の方針及び当該方針に関する指標の内容等については必須記載事項として、【サステナビリティに関する考え方及び取組】の「戦略」と「指標及び目標」において記載することとなりました。
 女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している会社及びその連結子会社は、【従業員の状況】において、これらの指標を記載することとなりました。

コーポレートガバナンスに関する開示

 【コーポレート・ガバナンスの概要】において、取締役会や指名委員会・報酬委員会等の活動状況(開催頻度、具体的な検討内容、出席状況)、内部監査の実効性(デュアルレポーティングの有無等)について記載することとなりました。
 【株式の保有状況】において、保有目的が営業上の取引、業務上の提携等の事項を目的とする場合は、当該事項の概要を記載することとなりました。

今後の予定

 本稿で記載されている内容は2022年12月7日まで意見募集が行われました。
 改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の規定は、2023年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用予定となっております。
 本稿で取りまとめた内容については、上場準備会社においても、直前事業年度が2023年3月期以降の会社から適用となることが見込まれます。
 既に類似の内容を任意開示している上場会社の記載事例等を参考にするなどして、具体的な記載内容の検討を進めることが必要です。

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